最近は14時30分頃に出勤して15時から1人で昼飲み営業をしています。こんにちは、小野です。
ここ数年は日本中が暑いんです。我々の住む北海道北見市は盆地という地形のせいもあり、冬は-25℃とかまで気温が下がるくせに夏は40℃近くまで上がります。そんなの無理、ついていけない。
で、5月の中旬にもなると厨房内は窓開けないとやばいくらい暑くなります。炭火にフライヤー3台、ガス台6口が稼働しているので当然と言えば当然ですね。
このままじゃ暑くて干からびて死んじゃうので当然厨房の窓を開けます。一応網戸がついているタイプの窓なんですが、ロールカーテンのように網戸を下ろすタイプだったので、ちょっと面倒がってしまい、網戸を下さず窓を開けました。
そしたらスズメバチが100%入ってくるんですよ。
網戸無しで窓を開けているとスズメバチは100%侵入してくる。
網戸なし 100%侵入 スズメバチ
一句詠んでる場合ではありません。成人男性の親指ほどの大きさのスズメバチなんで。
窓付近に設置してある冷蔵庫周りやガス台付近を、あたかも何かを物色するよう悠々自適に飛び回ったあとは、窓の近くに設置してある棚に置かれた調味料のディスペンサーに止まって休憩。飛んでは休憩を繰り返すんですそのスズメバチ。
幸い窓近辺の空間しか飛び回らない行動範囲の狭いスズメバチなようで、炭火方面やフライヤー方面、果ては客席まで行くことはないようでした。
しかし、ガス台方面を占拠されてしまった為、ガス系の調理ができません。なんならお湯も沸かせない。お湯すら沸かせない居酒屋がここに誕生しました。生まれてきてくれてありがとう。
いえ感謝している場合ではありません。
なんとかスズメバチを逃すか駆除しないと営業なんてとても無理。しかし頭を捻ろうにも、アナフィラキシーショックを避けつつスズメバチを撤退or駆除する方法が思いつきません。
僕は最悪厨房であいつに刺され、ビクンビクンしながら死ぬのかもしれないと想像し、ディスペンサーで休憩しているスズメバチを茫然と見ていると、店内チャイムが「ピンポーン ピンポーン」となりました。
店内チャイム「ピンポーン ピンポーン」、すなわち階段下の人感センサーの反応、それらが意味するところは「来客」です。
15時から提灯を掲げ、玄関の電気を煌々と灯し、ラジオを爆音で流していたので昼飲みのお客さんが来てもおかしくはない状況です。おかしくはない状況なのですが、昼飲み営業を始めたてという事もあり、15時台の来客は限りなく少なかったんです。
普通であれば大歓迎の昼飲み来客ですが、今回はちょっと事情が違う。
親指台のスズメバチと対峙中。正直接客どころではないし、ガス台が使えない今となっては調理もままならない。
「いらっしゃいませー、お好きな席へどうぞー」と、一応声だけで席を案内。
幸いなことに、窓を中心とした厨房から客席へ抜けられる道が2つあったので、僕はスズメバチを経由しないルートを使いながら接客します。
さらに幸運だったのが、お客さんがガス台を使わないメニューしか注文しなかった事。マジで助かる。すみませんちょっとお湯沸かせないんですよーとか普通言えない。
一通りの調理をし、商品提供を終えたのですが、特に状況がよくなっている訳もなく、スズメバチは調味料ディスペンサーで休憩していました。
これも幸運だったと言っていいのかわかりませんが、調味料って甘しょっぱいタレが入ったディスペンサーだったんですよ。タレが垂れて
タレがタレて
ディスペンサー表面にくっついちゃっていたので、スズメバチはそれを舐めたいが為にディスペンサーに止まっていたのではないかと思います。思いがけず奴の行動範囲を狭めたタレに感謝。
いや感謝している場合ではない。
窓から逃すという選択肢は僕の中にはもう消えていました。もはや状況は殺るか殺られるか。
あっちは僕をアナフィラキシーショックに陥れる魔法使いのジジイ専用毒針装備に加えて、自由に飛び回れる羽根まであるのに、僕は裸一貫、何の武器もない。わしゃモンクかい。アビリティ「かくとう」かい。
ジョブチェンジしないとマジで詰んでしまう状態でもう一度厨房内で武器となるものを探していると、ある物体を発見し、脳内で点と点が繋がりました。
バーナーあるじゃん
バーナーなんて小型の火炎放射器みたいなものですよ。悟りの書使って青魔導士に転職して火炎放射ラーニングできればスズメバチに勝てるんじゃね?というか駆除する方法はそれしかなくね?
目の前の敵が強すぎてDQとFFが交錯してますが、とにかくスズメバチを焼き討つ決意を固めました。
お客さんは客席で楽しげに談笑しています。厨房内で死闘が繰り広げられているなんて知る由もないでしょう。
勝負は一度きり。
万が一焼き払いに失敗して、あいつに僕の攻撃性を悟られたら、あいつは必ずジジイの毒針で反撃してきます。勘付かれずに、刹那であいつを火炎放射で葬らなければいけない。
しかし、奴は今棚の奥にいるため非常に狙いづらい。強引に、無理やり火炎放射しての討伐も可能だが、棚とか色々な物体に引火して建物が火事になったりして、取り返しのつかない事態を引き起こして人生終わるなんて事は絶対避けたい。
棚の手前、火炎放射器で狙いやすいポジションにアイツが移動するまで待つことにしようじゃないか。
バーナーを持つ手が震える。
バーナーなんて毎日使っているのに、入念に着火作業を繰り返し練習します。
そうこうしているうちにスズメバチが絶好の狙われポジションに移動しました。チャンスは一度きり。
目が合うとこちらの攻撃性がバレる可能性があるので、奴のお尻がこちらを向いた瞬間に行動を起こさなければならない。
そして 向いた 奴のSiri
着火!接近!行け!行け!GO!GO!
焼ける脚確認!燃える羽根確認!行け!行け!
焼ける胴体確認!燃える頭部確認!気を抜くな!行け!
、、、、、、、、、、
完全駆除!焼き払い完了!勝った!俺たちは勝ったぞ!
勝ったーーー!!!
バーナーを消し改めて奴の亡骸を確認しました。ピクリとも動かないし、火炎放射しすぎて棚がちょっと焦げてた。火事にならなくてよかったー。
というわけで、網戸は大事です。
現場からは以上です。